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2019年のまとめ

投稿日:2019年12月31日

今年ももうすぐ終わるので、今年一年の活動をまとめておこうと思います。

『滞留して沈黙』、伊勢崎映画祭にて上毛新聞社賞受賞

去年公開していた『滞留して沈黙』という自主制作作品がありまして、それがありがたいことにひとつだけ賞をいただけました。伊勢崎映画祭では、上映時の評論でも非常に奥深く読み取っていただけて、大変ありがたかったです。
逆を言えば受賞はこれだけで、この他はふたつほどのコンペで入選をした他は、全部落ちました。だから何だと言われれば、別になんでもありません。あらゆるリアクションを取らず、死ぬまで生きるだけです。

伊勢崎行ってきた記事はこちら↓

北の関東

滞留して沈黙はこちら↓

滞留して沈黙

 

 

Animation Runs!『坂野友軌監督特集』開催

去年の自主上映会の際に知り合った竹中さんからお誘いいただいて、特集の上映イベントを開催していただきました。去年に引き続き作品をお貸しいただいた黒木くんと金子さんには改めて感謝です。尺が埋まるか不安でスライドとか準備して臨んだのですが、結局はフリートークの時間が一番盛り上がっていました。次からはもう少し楽をしようと思います。当日お越しいただいた方々、そして竹中さんとスタッフの方々、本当にありがとうございました。

Animation Runs! 公式HPはこちら↓
http://himecine.main.jp/ani_run/

 

CGアニメーターとしてのデモカットを制作

走闘舞 ~映像における身体運動にフォーカスした3種のデモンストレーション~

去年の10月から準備をしていたデモカットが、2月、6月、9月と計三つ完成し、CGアニメーターとしてのデモリールを、やっとこさひとつこしらえることができました。内容についての説明は公開時の記事(上記リンク)に託すとして、個人的にはこれらのカットが予想以上に広く行き渡ったことが今年一番の出来事です。結局はキャラだ、ルックだ、ストーリーだ、などと言われることもありますが、僕はそれでも動きを信じていて良かったと思っています。手描きのアニメーターさんと違って、我々の存在は一枚絵には残りません。だからこそ、これからも動いて動いて動くことで、何かを刻みつけていければと思います。

 

No More Heroes 3 – The Return 参加

去年の秋から今年にかけて、しばらく神風動画にフリーランスとして通わせていただきまして、そこで参加させていただいた作品のひとつです。GoddamnSuperHero編(冒頭~5:05)の3Dのモーションはすべて担当させていただきました。
分担が基本の世界で、こういった機会はそうあるものではありません。託すほうも勇気のいることで、託した後も辛抱が必要なことです。そういった支えの中で、一生ものの経験をさせていただきました。Twitterを見る限りモーションのほうも好評だったようで、久々の作品公開を嬉しく思っています。改めて、このような機会を与え、支えてくださった方々に感謝です。

 

大阪移住

そして今月からは大阪に住んでいます。その筋に詳しい方はお察しいただけるかと思いますが、ゲーム業界に足を踏み入れました。CGアニメーターの居場所はアニメの世界だけではありません。僕はこの職業がわりと好きなので、異なる舞台でそのあり方がどう変わってくるのかに、大変興味があります。一方で、変わらない部分もきっとあるはずです。広い視野、大きなストロークで、これからも動きを探求していこうと思っています。

 

今年一年の所感

去年の年末の記事(http://bannoyuki.com/archives/983)の最後のほうを読み直しましたが、わりと有言実行できていて何よりです。肩書き的には今もフリーのCGアニメーターですが、大阪移住の件で一線を越えた気がしています。あとは、デモカットで数字的な成果が少し出て、だいぶ精神的に楽になりました。『滞留して沈黙』に関しては上記の通りですが、作品の内容は(僕の作品としては)間違ってないと思います。
ひとつひとつ、筋は通して歩んでいるので、今年も今年で上出来なのではないでしょうか。

 

来年に向けて

今は、新作の準備を本腰入れて開始しているのですが、来年中に何かしら発表に至ることは、やはりないように思います。時間を決めてちゃっちゃと作れよ、と言いたいのですが、学生時代から卒業延期したりで作ってしまっているので、これはもう性なのでしょう。しかし、人より走るのが遅いからと言って立ち止まれば何処にも至れません。鈍足でも歩き続けて、自分にしか至れないところに至る。凡人にはそれ以外に生きる価値などありません。
来年は今年以上に、公開、発表、告知等、ないと思います。丸一年無言かもしれません。唯一希望が持てるのは、質問箱(https://peing.net/ja/beadschain)でしょうか。人付き合いが嫌いで年々友人関係が消失しつつある僕ですが、質問に答えるのはわりと好きなようです。僕宛に送ったものであれば(プログラムが寄越したものでなければ)、基本的には回答するはずですので、良かったら質問送ってください。息抜きに答えます。
2019年も、終わりですね。去年からお世話になっている方も、今年からお世話になっている方も、今年一年ありがとうございました。来年はオリンピックですね。ほとぼりがさめたら、こっそり臨海部を歩きたいです。
2020年も、よろしくお願いいたします。

-近況報告
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Particularという道

投稿日:

particularCard

合間を縫ってちらほら動画を出していたParticularについてですが、こちらも記事にしてまとめておこうと思います。基本的にはYoutubeにあげている「Particular主体のエフェクトサンプル」の埋め込みで、前後にちょっとした文章を足すだけの内容です。

 

僕がParticularを選ぶ理由

Particularは、AE上の3D空間にパーティクルを作成するプラグインです。また、3DソフトからAEへカメラやヘルパーの位置情報を持ち込めれば、3Dの出力素材と挙動を連動させることができます。僕はこの仕組みを利用して、作画的なエフェクトツールとしてParticularを使っています。
主な利点としては、

・AE上で使うので、レンダリング工程を省けて、最終ルックも同時に詰められる
・エフェクトコントロールパネルに操作系が集約されているので、あちこち行き来しなくていい(プリセットの流用も簡単)

という2点があげられます。
一枚絵の洗練度や挙動の複雑さで言えば、2Dの作画や3Dのシミュレーションに劣る部分はあるかもしれません。しかしながら、上記の点からもわかるように、Particularは小回りが利きます。物理的なエフェクトを専門でやりたい、という方は他のツールをメインに据えるべきですが、アニメ系のCGアニメーターが状況に応じて身軽に扱うには、Particularという選択肢は、ひとつありなのではないかと思います。

 

01-使用頻度の高いエフェクトと追従の基本

 

粗末な書き文字ですが、エクスプレッションの補足です。exp補足

 

ヒットエフェクト/煙/マズル/ガラ、基本的なものを抑えました。どれも粉が空間に飛び散るものと思えば、それなりに作れます。煙は後の2カットでも多用していますが、基本的にはParticular+Vector Blurの組み合わせです。TypeをDirection Fadingで足すのが最近の好み。

02-ミサイル&爆発及びObscuration Layerによるマット切り

 

Obscuration Layerについての補足です。
平らな地面の時限定ですが、煙の接地感が出せます。この動画の平面はサンプル用に小さくしてありますが、実際には一面覆うように、大きくして使っています。
ObscurationLayer

 

ミサイルと爆発を例に挙げています。大きい爆発は力業な感もありますが、ミサイルなど、細々としたものをたくさん置いていく時には有効に使えます。Obscuration Layerに関しては、Particularらしい簡易さではありますが、今後OBJを使って立体でもマットが切れるとありがたいなと思います。

03-空間の描写とタービュランスによる微調整

煙と塵だけですが、3つのカットの中では、最もメジャーなParticularの使い方だと思います。いくら立体的にカメラを動かしても、空気のない3D空間では、距離感を情報にして足さないと奥行が出ませんから、そういった点で、空間に加筆できるParticularは本当に助かります。

 

見立ての精神がParticularを活かす

冒頭の内容ともかぶりますが、最後にParticularを使うメリットデメリットをまとめておきます。これらはあくまで、作画的なエフェクトツールとして、2Dの作画、あるいは3Dのパーティクルシステムと比べた時に、という話です。

【メリット】
・レンダリングの工程を省けると同時に、最終的なルックを確認しながらパーティクルの調整をすることができる。
・エフェクトコントロールパネルに操作系が集約されているので、比較的早く作れる。
・AEさえワークフローに入っていれば、3Dソフトの種類に左右されない。
・ランダムシードを使えば、コピペばれを回避できて、別案件での流用にも不安がない。

【デメリット】
・キャラと共に3D空間で確認することができない。
・3Dのパーティクルシステムと比べると、できることが限られる(衝突やフォースによる複雑な制御、立体的なシェーディングなどは難しい)
・3Dソフトから位置情報のデータをAEに読み込む手間が必要(maxだと、わりと時間がかかる)。

Particularの武器を総じてまとめると、カジュアルさ、です。これは、様々な制約を逆手にとって「見立て」の表現として進歩した日本のリミテッドアニメーションと通ずる部分だと思います。時間だったり、お金だったり、人だったり、多くのものが足りない中だからこそ、限られた機能を頓智で使って、ただの粒を様々なものに見立てていく。単に扱い易いだけでなく、そこにアニメ表現としての理も見い出せるからこそ、僕はParticularを使い続けています。

今回のサンプルは、OBJエミッターのくだり以外Particular2でもほぼほぼ再現可能ですので、4(最新のバージョン)が手元になくても良かったら触ってみてください。

-デモカット
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デモカットについてのもろもろ

投稿日:

実は去年の10月から作業を始めていたデモ用のカットなのですが、今月やっと3つ目の公開に至り、僕の中では一旦のキリとすることができました。習作的な側面もあるのですが、今までの習慣にならって、今回の3つのカットで自分が志したことをまとめておこうと思います。

 

動きが主役の映像は、3つの種類に分けられる

大学生の頃、「スポーツ映像論」という授業を受けていました。一般教養科目でありつつも興味深かったその授業のレジュメを、僕は今でも保管していて、そこで語られている内容のうちのひとつが、上記のようなことです。

3つというのは、
・スラップスティック
・ミュージカル
・活劇
の3つであり、映画がトーキーになって以来、物語主導の作品が主流となった現在でも、「動くことが面白い」というアトラクション性を強く持つジャンル、という意味で挙げられています。
僕がその授業を受けていたのは2012年で、現在では映画も含め動画コンテンツのあり方は日々変わってきている印象もあるのですが、上記3つが動きを主役としたジャンルであることは間違いないと思います。

業界に入ってから今までアクションばかりをやってきて、これからもこの道を歩んで行きたいと思っていた僕は、デモカットを制作をするにあたって、これら3つをジャンルをテーマに据えました。野球選手であれば「走攻守」というように、アクションアニメーターにおける「走闘舞」という形で、自身の力量を測れると思ったからです。

一つ目から、活劇/スラップスティック/ミュージカルの順に対応しています。

 

↓各カットの埋め込みと、簡単な紹介文はこちら
http://bannoyuki.com/animation/demo

 

コンテンツに依存しないことの価値

CGアニメーターの仕事は、誰かが考え出して、誰かがデザインし、誰かがモデリングしたキャラクターを動かすことです。自分と明確に切り離されているはずのキャラクターと、動きを通じて融合していく感覚は、この仕事でしか味わえない醍醐味と思っているのですが、一方でキャラクターや物語に導かれて芝居ができてしまう故、自身の能力や特性が自分でもわからなくなります。そろそろ若手とも名乗れなくなった今頃にデモカットを作ろうと思ったのは、自身のそういった部分の不明瞭さが気になったからでした。
故に、自身でコンテンツを作るのではなく、匿名性の高い素体と空間を使っています。提示したいのは、あくまでアニメーターとしての自分のあり方で、それ以外の要素は極力省きたかったからです。後から見返して、”20代のアニメーターとしてのセルフポートレート” になれば、という思いで制作しました。

主役機全身。デザインもモデリングも基礎を学んだことのない身ですが、プロポーションやシルエットはこだわって作りました。このあたりは人間に近ければ近いほど、動きは見せやすいです。

 

アーティストとしてのアニメーターでありたい

「今日も命があるのなら、」そう思いながら過ごす日が増えました。フリーになって以降、自分が一番知ったのは、自分自身のことでした。

今日も命があるのなら、僕はできるだけ、自分がやることに意義があることに、その時間を捧げたいです。アニメーションを作るのは、とても時間のかかることで、ひとつのプロジェクトでそれなりの成果をあげようとすれば、短くても2カ月、長いと1年以上の時間が奪われます。先が長いかも知れぬ人生とはいえ、今の年齢でしか作れない動きもあります。

誰でも良い仕事をするくらいなら、僕は家で自分のアニメを作ります。自分がやることに意義があることって何よって、自分で作って提示していかないと、誰にもわからないのだから。

デモ用のカットって何なんだって、これはむしろ、無駄な仕事を請けないための魔除けです。
どのカットも10秒を超えていて、イラストなんて目もくれず、カメラと共にどこか別の境地へ動き続けるのです。

僕はこういう道を教えてもらって歩んできた、こういう筋のアニメーターであって、これからだってこの道を歩んでいきたい者です。

今回のデモカットをご覧になって、その上で振りたい仕事がもしお手元にありましたら、ご相談いただけると幸いです。

-デモカット
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