今日から『イージー・アニメ・ライフ』という連載のブログを始めます。今年7月に完成した『滞留して沈黙』の制作レポートです。本日youtubeに本編をアップしたので、よかったら観てください。
改めて『滞留して沈黙』について、製作面から説明をすると、「個人主体で企画、製作された自主制作アニメ」です。僕が一人で企画を立てて、一人で絵を描きつつ製作を管理して完成しています。
これは、仕事をしながら前々から思っていた「一人で作れば、アニメ製作はもっと簡単なのではないか」という仮説を実行に移した形です。実際よっぽど簡単だったようにも思うので、こういった形でレポートにまとめます。
このレポートの有用性としては、働く片手間で自主制作もしたい方には、何か有益な情報を提供できるかもしれませんし、初心者の方で既存の製作工程が複雑すぎて尻込みしてしまっている時には、最初の一歩くらいは後押しできるかもしれません。
とはいえ、あくまで個人的なレポートですので、あまり期待をせず、話が理解できて、興味を持てるところだけ読んでもらえると幸いです。全部読めば誰でもアニメが作れるとか作業スピードがあがるとか、そういった類いのものではありませんので、誤って一生懸命読まぬよう、お願いいたします。
では内容に入ります。
今日は、最終的にはレポート全体の概要を示そうと思うのですが、ひとまずはワークフローから振り返っていきたいと思います。
緑色のところが自分でやった箇所で、その他が委託した箇所です。工数を少なく、シンプルな作り方を目指しました。「アニメ制作」の欄は非常に簡素ですが、本当にこの程度にしか作業手順を分けていません。そのあたりは後述するとして、とりあえず今日は、こちらのワークフローの図を元に、今作の制作を振り返ってみたいと思います。
制作期間
全体で2年7か月になります。機材も仲間も、状況に応じて少しだけで作れますが、時間だけは圧倒的に必要になります。自主制作であれば尚更、時間を作ることがアニメを作ること、と言っても過言ではありません。最後の半年以外はずっとフルタイムで働いていて、1日2~3時間くらいしか作業はしていないのですが、それでも3年弱やっていれば、ひとつ作品が完成したりもするのです。
スタッフ、キャスト配置
大半は音関係の方々です。
既知の仲だった人は3人で、人づてに紹介してもらった人は2人、後の3人はネットで検索して見つけた人たちです。どのつてもあなどれません。
困ったら検索をかければ、引き受けてくださる方がどこかで情報を出してくれているはずです。
それぞれの方とのエピソードなど、宣伝動画にまとめてありますので、よろしければ、こちらもぜひ(僕がしゃべるので、注意!!)。
自身の生活感の流れ
全体で3つの時期に分けられます。
一番大変だったのは、やはり真ん中の「演出と作家を両立する期間」でしょうか。関わる人が増えれば増えるほど、想定外のことがいくらでも起こるので、注意が必要です。他のふたつは、特に何事もありません。
減らした工程のゆくえ(今回のレポートの概要)
本題に入ります。
作業手順はこの程度にしか分けていませんが、仕事を減らしているわけではありません。だいたいのものは、どこかに統合して始末をつけています。それでは意味がないようにも思いますが、そうとも言えません。
工程を統合すれば、関連する事柄を同時に検討することができます。これによって、必要と思って作ったものが最終的には使われなかった、というような作業ロスを減らすことができます。また同時に、最終段階で修正をしたくなった時に、工程を遡ることも容易です。そのあたり、個人主体だからこそできる、極力シンプルで身軽な手順の構築が、今作の制作面のテーマであり、このレポートの内容です。
また、宣伝動画では時系列順に制作を振り返りましたが、このレポートでは各工程を振り返っていく、というわけです。照らし合わせることで見えてくるものも、何かあるかもしれません。
とりあえず次回(おそらく1週間後くらい)は絵コンテを振り返ります。スタッフ&キャストには動画コンテと企画書しか渡していないので、僕以外ほとんど誰も見たことがない絵コンテです。特殊な仕様だったりするわけではありませんが、お楽しみに。